2015年12月31日木曜日

人工知能は黒白の夢を見るか

本日は、下記2つのリンク先(別窓で開きます)の記事を基に書いておりますが、
飛ばして頂いても大丈夫な内容になって…いるかと思います。
(お時間がございましたら、ご参照ください♪)

【nitro15】
Googleの人工知能vs人間、対決実現?グーグルのエンジニア、囲碁対決示唆

【WIRED】
Facebook Aims Its AI at the Game No Computer Can Crack


さて。これらの記事が囲碁クラスタを賑わせていた頃、
SF脳の下っ端は、ワクワクしながらも首を傾げておりました。

「AIがネットの海から拾い上げた囲碁関連のデータで自習して、
 プロ棋士を超えてみせるよ!」

と言っているみたいだけれど、例えていうならこれは

「門前の小僧さんは、経を習わずとも高僧になれますよ」

っていうことなのかしらん。

…いやいや、小僧さんがお経を違わず諳んじるようになるのと、
仏智を得るに至るのは、また別のお話のはずでしょうに、
途中どんなドラマがあってそんなことになるのか、
さっぱり理解できません。

そこでカギとなるらしいのが、「deep learning(深層学習)」という言葉。

記事には、

「うちのコは2~3か月の学習で、従来型AIをやっつけることが出来ました!」

などという、怪しい通販の謳い文句のようなことが書いてあるのですが、
そんなことを可能にする技術って一体どういうものなのでしょう。

なんだか面白そうだから、色々調べてみよう!
…と、思い立ってから既に2か月弱。

比較的分かりやすく説明してくれているらしきサイトから、
勢い余って横文字の論文まで目を通してはみたものの…。

ヒトの脳をモデルにしたソフトウェア「ニューラルネットワーク」を
多層構造にしたもので必要な情報を抽出(オートエンコーダー)するシステム、
とか言われましても…うん、なるほどわからんというやつです。

といって、諦めたらここで終了ですので、
うーんと大雑把に下っ端のイメージを述べてみたいと思います。

たとえ話として、下っ端とその仲間が3チームを作って
「衣装ケース一杯に入った様々な動物のぬいぐるみ中から、猫を選ぶ」
という作業をするとしましょう。

ただし、私たちは「猫」なる生物が何なのかを知りません。
さて、どうやって猫を選んだらいいでしょうか。

1.Aチームは皆で相談して、尻尾のあるぬいぐるみを選り分け、Bチームに渡します。
  (ヘビやら魚のぬいぐるみ入り)

2.Bチームはその中から、耳が三角形のぬいぐるみを選り分けて、下っ端チームに渡します。
  (微妙な縫製の馬のぬいぐるみも仲間入り)

3.下っ端チームは更にその中から、全体的にもふもふした印象のぬいぐるみを選び、
 声を合わせてせーの、で発表します。

「この可愛いのが猫だと思う!」

…ええと。
なんだか、更に分かりにくくなったような気がしないでも。

話を戻しまして、ニューラルネットワークをこの各チームとすると、
チーム内会議を含めて1~3のように、

「人の介在なしに行える手順そのもの」

を、deep learningというのかな、と思うのですが…どうなのでしょう。ごにょごにょ。

たとえ話に出した判定方法では、垂れ耳スコティッシュや
もふもふ素材以外のぬいぐるみは猫以外と分類されてしまいますし、
ここまで都合よく、正解まで一本道のはずがありませんけど、
賢いヒト達の作った賢いシステムは、この学習法でなんだか凄いことが
出来るようになっているみたいです。

googleさんのチームが作ったシステムは、人間が行った場合の誤差が5.1%だった
顔認識の作業を、誤差4.8%で出来たのだとか(2014年データ)。あらまあ。

ただ、この「これはヒトの顔だねっ!」という作業が出来るようになるまで、
1万6000個のCPUコアで構成されたシステムをもってしても1週間かかったそうなので、
更に複雑な思考を要する囲碁の、しかもプロ棋士クラスに育つまでに、
どのくらいの規模と時間を要するものでしょうか…。

でも、ここで大事なのは、「ヒトが作業手順や正解を教えているわけではない」というところ。
システム自身が、与えられたデータからヒトのように「手順を考え」て「役割分担」し、
「検討」して、「結論をだす」という点にあります。

ヒトの子供が育つように、見て学んで、猫を見つけ出すのも、顔を見分けるのも、
囲碁を覚えるのも、ぜーんぶ一人でできるもん、なシステムになるかもしれない、その可能性。

やっぱり仕組みは全然分からないけれど、それは凄いことだと思うのです。

下っ端としては、囲碁くらい敗れざる聖域であってほしいと願う反面、
ヒトの生み出した、寝ることも食べることも必要のないコンピュータのシステムが
一人(?)でコツコツ考え続け、棋力を磨いていく様を思うと、
やっぱりちょっとワクワクしてしまいます。

そして、そうやって特定の師を持たずに玉石混交のネット情報だけで
お勉強したコは、一体どのような棋風に育っていくのでしょうか…。

まあ、市販の囲碁ソフトにすら勝てない自分が偉そうに言えることでもなく、
勝てるとしたらせいぜいが脳の消費電力の少なさくらいですけれど、
せめてコツコツ頑張る気持ちくらいは負けないようにしたいと思います…。

(author:下っ端)


以下、余談です。
「トランセンデンス」という映画の内容に触れておりますので、
まだご覧になっていない方は開かれないことをお勧め致しますm(._.*)m

先日、タイムリーなことに、CSで「トランセンデンス」という、人工知能
(作中では従来型と区別して、きちんとstrong AIと呼んでおりましたが)を
扱った映画を放送していたので、録画して観てみました。

量子コンピュータで自身の脳をエミュレートすることで、人類を凌駕する
人工知能となった天才科学者が、テロリストと政府の両方から脅威とみなされて
魔女狩りを受けることになる…というお話なのですが、これがなんだかとっても悲しい。

(ジョニー・デップさん演じる天才科学者が表紙のWIREDが
ちらっと写っていて、途中にやっとしましたが)

有り得たかも知れない夢のような未来が、1つボタンを掛け違ってしまったせいで
愛も友情も引き裂いて、徹底的に破壊されてしまいます。
(ラストに希望は残されているのですが)

冒頭とラストに流れる同じカントリー音楽は

「どんな未来でも 君と一緒に歩きたい」

と歌っているのに。もっと違うアプローチはなかったのかしら…。


実際のところ、ヒトの脳を隅々まで解析できない限り、脳のアップロードは
不可能らしいですが、

「SFとは予測(speculation)の文学である」

と、ロバート・A・ハインラインさんもおっしゃっていますし、
いずれ形になる日が来るかも知れません。

それが実録ターミネーターになってしまったら困りますから、
なんらかの規制なり監視なりは必要になるのでしょうけれども。

日本には、子供にとってかけがえのない友達たりうる猫型のコと、
人類のために太陽に突っ込んでいく、勇敢でけなげなコの
物語があることですし、下っ端としてはシンギュラリティの
明るい面を眺めていたいなあと思ったのでした。



3 件のコメント:

  1. お客様より「コメント入力が出来ない」と伺ったので、テスト投稿してみます。

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  2. テスト投稿させていただきます。

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  3. あ…できました!失礼しました(*_*)

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